3−7 Crisis

部屋では。
成美が阿貴に甘えるようにその肩口に擦り寄ってきて。
その仕草・その様子に尋常ならぬ雰囲気を阿貴は感じていた。
いくら本人の性格が人懐こいと言っても。
成美がそこまでする心理が理解できなかったのだ。
「な…成美さん…?」
ほぼ密着した状態で、どぎまぎしながら問いかける阿貴に、
「ねぇ…」
甘く、優しく囁きかけながら成美が言った言葉は。




「…ぼく…君の事好きになっちゃった…」



…あまりに突然、唐突な成美のその言葉に、阿貴の思考が停止する。
その隙を突いて、成美がその身体を預けるように、阿貴に乗りかかってきた。
完全に無警戒な状態で、しかも体格の差ゆえにあっさり床に押し倒される。
「な…成美さん?!」
目をぱちくりさせながらとりあえず相手の名前を呼ぶが。
いきなりの行為にどうしていいものか全くわからず、ただ告白された事実だけが頭の中をぐるぐる駆け回っていて。
そうしている間にも成美の顔が徐々にアップに迫ってきた。

「ぼく…本気で君の事好きになっちゃったの…ね…いいでしょ…?」
何が、と阿貴が口を開こうとした瞬間。



成美の唇がそっと重ねられた。



「んっ!………」
突然の展開に驚いて目を見開く阿貴。
なにせこんなことをされるのは初めてなのだ。
ファーストキスの相手が…
相手が見た目が非の打ち所の無い美少女とは言えど、成美自身が言っていたように、男ではないか。
それなのに、同じ男である自分にそのようなことをするなどとは、とても阿貴には理解できなくて。
そんな阿貴の戸惑いに委細構わず、成美は更に深く口づけようと舌を口内に差し入れていく。
突然の感覚に、またしてもびくん、と身体が反応する。
きゅ、と抱きしめられ、舌を絡め取られ。
何もかもが初めての阿貴にとって全てが未知の感覚で。
感覚に頭がぼうっとなってきたところで、寮長である春海の言葉が、ようやく頭をよぎる。
「気をつけろ」
その言葉の意味に、やっと気付く。
そして。



「いやあああああああああっ!!」



男のものとは思えぬ悲鳴を上げると、阿貴は思い切り、その華奢な身体のどこに、と思える力で成美を突き飛ばしていた…。


To be continued...


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