3−4 青碧一の問題児登場・First Contact

誠伍とあれからどうにか立ち直った春海の二人に連れられて寮内を歩く阿貴。
先に歩いていた春海がそのまま後ろを振り返って、
「ここは青碧だから、本当に個性的な連中ばかり集まってくるんだ。変わった奴ばかりだけどみんな根はいい奴だからきっと君もすぐに慣れてくれると思うけど…」
と、一旦言葉を切って。
「ただ…君のルームメイトなんだけど…ちょっと問題ありでね。先に言っておくけど一応気をつけてくれよ?」
どこか含みを持たせたような、そんな言い回し。
阿貴は、それが気になって
「どうしてですか?」
と一言。
二人が立ち止まったのは阿貴の質問に答えるためではなく、ちょうどその質問が発せられたところでその部屋に着いてしまったからだ。
向こう3軒両隣、と言う言い回しもおかしいかもしれないがどこを見回しても同じようなつくりのドアの並び。
人より身長が低い阿貴の丁度頭の辺りに「120」と書かれたプレート。
部屋番号を指しているのだろうが、表札のように寮生の名前が書かれているわけでもない。
二人が立ち止まったのは、そのドアの前だった。

春海は、人好きのする微笑を浮かべて、さっきの問いに、
「ま、会えばすぐにわかるさ。ここが君の部屋だ」
と、言ってそのドアをどんどんと叩き。
「成美ー、いるかー?」
大声でまだ顔も知らぬ同居人の名を呼ぶ。
しかし、中から返事は返ってこない。
「いないな」
と、誠伍。
「そのうち来るだろ。鍵もあけっぱにしてるようだし…」
がちゃ、とドアノブを回してみてドアが開くのを確認すると、
「心配しなくっても人懐こい奴だからすぐ仲良くなれると思うぜ?じゃ、俺ら入り口で仕事してるから何かあったらいつでも呼んでくれよ」
軽く笑みを見せると、春海と誠伍は部屋を出て行った。

案内された部屋に入り、どさ、と持っていた鞄を下ろして。
「ふー…」
と、一息つく。
ことの外広い室内に、二段ベッドと真ん中にテーブル、そして先にいる同居人の物なのだろう雑誌やゲームなどが置かれていて。
ぐるりと視線を一回りさせて、阿貴はここまで重い荷物を抱えてやってきた疲労を労わるように足を伸ばして座ってみる。
そして。
…あの寮長の言ってた成美って人はどんな人なんだろう…
どこか含みのある言い回しが気になって、まだ顔も知らない同居人に思いをはせてみる。
だが。
いつまでもこの荷物をそのままにしておくわけにもいかず、会ったらその時はその時だ、と腹をくくって荷物の整理を始めようと下ろした鞄を開けた。
「会えばすぐにわかる」
そういわれた言葉をそのままトレースして、作業に取り掛かる。
元々腹は据わっている自負がある。
どんな人が来ても問題はない。
そう思いながら手際よく荷物の整理に取り掛かった。


その時。

こんこん。

何かが、阿貴の背後の窓ガラスを叩いた。
が、その時は風かなと思い、気に留めずにいたのだが。
わずかな間をおいて。

コンコンっ!

前よりも強く叩くその音に何だろうと思い振り返る。



その瞬間。



阿貴は絶句した。



振り返ったその視線の先には。
なんと窓の外で宙ぶらりんになってこちらを見ている人物がいたのだった…


to Be Continued...


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